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My Granpa.

先日母からのメールで、祖母がとうとうケアハウスにいられなくなるということだった。どうやら内科の検診を5月から受けていなかったらしく、降圧剤を飲むのをやめてしまい、手足が動かなくなってトイレが間に合わなくなっていたとのこと。それを隣の部屋に住む祖父がケアしていたという事態。加えてボケも悪化していたので、基本、健康な老人しか受け付けないそのケアハウスに関しては、もう随分前からカウントダウンが始まっていた。祖父は何も問題が無いのでそのままそこに残り、祖母はもっと管理の行き届いた病院併設のケアハウスに移ることになる。さて、彼らは90歳にして初めて別々の場所で暮らすことになるのである。

そうは言っても祖父母はラブラブな祖父母でもなく、お互いにどこか距離を保っているのが孫から見てもわかるような、どこか自立した2人であった。2人共長いこと教職に就いていたし、その年金がそれぞれの収入にあり、持ち家もあったし、お金に困っていることは一切無かった。戦後の中での見合い結婚であるから、私には想像できない世界であるが、それでも1人1人が何歳になっても凛として立っている感じが私はとても好きだった。祖母の信仰する宗教の関係で手術を拒んだ彼女が足を不自由にし、生活がとても不便になりケアハウスに入居することを決めたのはもう7年前くらいであろうか。すこぶる健康だった祖父も、何も言わずに覚悟を決めて祖母と共にそのケアハウスに入居することに同意した。と言っても1人1部屋ずつ、隣同士で暮らし、ご飯は一緒に食べ、他の時間は自分の趣味に費やすという意味では以前と変わりないスタイルであった。祖母は私が物心ついた時から既にその宗教に没頭していたし、祖父は映画と本、そして最新電化製品を愛してやまず、英語を勉強し続け、夏は登山、冬はスキーに夢中であった。祖父は祖母の宗教に一切関わらなかったし、祖母は祖父について登山やスキーをするわけでもなかった。そんな2人は、とにかくご飯だけを一緒に、朝・昼・晩と、とにかくご飯を一緒に食べていた。2人だけの時にどんな会話がなされていたのかは、もちろん知らないけれど、私はその、ご飯を一緒に食べるという行為に、とても意味があるような気がしていた。

ボケが進んでいる祖母のことはあまり心配していない。それよりも、健康で、長い間祖母の面倒を見てきた祖父のことが心配だ。これからご飯を1人で食べるのか。ケアハウスの中には祖父のファンクラブもあるというくらいだから、祖母がいなくなっても一緒にご飯を食べるガールフレンドがいるといい。最近、祖父のことがとても気になる。アメリカで産まれ、この地で15歳まで過ごした祖父は、90歳の今も英語でハリーポッターを読んでいる。家族の誰1人として興味が無いアメリカに私が今こうして渡っているということが、どこかで何かが祖父と私の間で繋がっているような気がしてならない。そういうのを一切信じない私なのだけれど。
by inBrooklyn | 2007-11-30 00:01 | talk to myself
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